中目黒のショールームで見つけた、ひとつの小さなポーチ。バッグブランドFUMIKODAのプレス発表会の会場には、黄色いブイから粉砕されたペレット、色のついたレザーシート、そして完成したポーチまで、廃棄物が姿を変えていく変容の全工程が並んでいました。
第三弾にして、初めての融合
「VENUS」は、漁網をリサイクルしたナイロン素材「オーシャンカレント®」と、廃棄フロートを人工皮革に転換した「Ocean V leather」を組み合わせた世界初のショルダーポーチ。2021年の漁網ナイロンのハンドバッグ「MEGAN」、2025年にフロート人工皮革を使い1週間で完売したボックストートバッグ「MARINA」に続く第三弾で、二つの素材を初めてひとつのバッグに融合させました。
このミニポーチは、「スマホをハンズフリーで持ちたい」「できるだけ環境に配慮したアイテムを使いたい」という女性の声から生まれました。FUMIKODAのクリエイティブディレクター、幸田さんは「かつてジャケットにリュックはありえなかった。でも今は違う。スーツやジャケット姿のキャリア女性が、斜めがけのスマホポーチを移動中や車内で当たり前に使っている。ならば、そのポーチもFUMIKODAらしく作れるんじゃないかと思いました」と話します。ビジネスバッグより手に取りやすい価格帯のその小さなスマホポーチには、大きな意図も込められていました。
本体のしなやかなナイロン部分が漁網由来で、底やフラップなどのアクセントに使われているレザー部分がブイ由来。軽やかさと適度な張りを両立させるための、計算された組み合わせです。背面にはカードが入るポケットを設け、斜めがけでスマホをすぐに取り出せる工夫も凝らしています。
この製品は、FUMIKODAだけの力で生まれたわけではありません。モリトアパレル株式会社、大同化成株式会社、リファインバース株式会社といった企業や、一般社団法人Alliance for the Blueとの業界を超えた連携によって実現しました。

左:廃棄された漁業用フロートと、粉砕・再生されたペレット 右:回収された廃漁網と、ナイロン原料となる再生素材
「一回使って終わり」にしない
幸田さんが発表会で繰り返したのは、継続することの難しさでした。リサイクル素材は職人泣かせで、素材ごとに芯材との相性を試し直す必要があります。大手ブランドが一度試みても続かないのはそのためだといいます。
「ファーストペンギンじゃないですけれども」、幸田さんはそう言いながら、消費者の意識を変えていく先頭走者として、小さなブランドだからこそ発信できるメッセージを届けたいと話します。その活動が広がることで素材の流通量が増え、やがて自動車や建設といった大きな産業にも波及し、コスト全体が下がっていく。FUMIKODAは、その循環の起点に立とうとしています。
「持っていて気持ちいい」という選択
FUMIKODAは創業当初から、軽さと耐久性を追求して人工皮革を選んできました。幸田さんが「持っていて気持ちいい」と話すとき、その「気持ちよさ」には機能や見た目だけでなく、自分が持つものが環境に配慮されているか、無駄な廃棄をしていないか、そういう判断の積み重ねまでが含まれています。
実際、Patrasで取材した公認会計士の新井佐恵子さんや、Toget-HER代表の及川美紀さんをはじめ、女性エグゼクティブたちにも選ばれています。エコだから仕方なく持つのではなく、欲しいと思って手に取ったら、結果的に自分の価値観と一致していた。そうした価値観ごと持ち歩けることも、このブランドが選ばれ続けている理由のひとつなのです。

FUMIKODAクリエイティブディレクター・幸田フミさん(左)とAlliance for the Blue代表・野村浩一さん(右)。野村さんの手にあるのが、VENUSの原料となる実物のブイと廃漁網
スマホポーチ「VENUS(ヴィーナス)」価格:44,000円(税込)→ 先行販売 27,500円(税込)※4月30日まで
カラー:4色展開(マリーナブルー、マリーナブラック、マリーナレッド、マリーナブラウン)
購入方法:FUMIKODAオンラインブティック、中目黒直営店
問い合わせ先:03-5459-2730