Yuri Okabe

ビジネスコンシェルジュ

外資系金融機関で20年間勤務した後、独立。
独立系ベンチャーキャピタルと連携し、
起業支援や経営戦略の立案、新規上場やM&Aに携わる。
2015年、国内外のネットワークを活かし、
企業の海外進出支援やビジネスマッチングを行うYURI LINKSを設立。
起業から事業再編、事業継承、資金調達などの相談、
富裕層の資産活用アドバイスなども行う。

今からでも間に合う「私産1億円」の叶え方

AI時代に、「ご縁」はどう育つのか

ビジネスコンシェルジュ
岡部ゆり

Alumni Ventures 最高法務責任者(CLO)兼
エグゼクティブ・マネージング・ディレクター、アジア・パシフィック代表
マイケル・フィリップ

Keyaki Capital株式会社
代表取締役CEO
木村大樹

 

ご縁というものは、出会った瞬間に完成するのではないのかもしれません。出会いのあとに自分がどう動くかという選択の積み重ねによって、はじめてご縁になっていく。米国の有力ベンチャーキャピタル・Alumni Venturesの最高法務責任者(CLO)兼 エグゼクティブ・マネージング・ディレクター、アジア・パシフィック代表・マイケル・フィリップ氏と、その日本における架け橋であるKeyaki Capital・木村大樹社長。投資の世界の最前線に立つお二人との鼎談を通して、ご縁の育て方のヒントをお届けします。



データベースではなく、人とのご縁から

私と木村社長の出会いは、日本橋のローカルな小さな懇親会での名刺交換がきっかけでした。そしてその木村社長とマイケルさんの出会いもまた、人のご縁から始まっていました。
木村社長に伺うと、答えはシンプルなものでした。
「二十代前半からのアメリカ人の友人が、Alumni Venturesの投資家でした。その方が紹介してくれたんです」。
世界有数のベンチャーキャピタルが、パートナーを探す時に使うのはデータベースではなく、人と人とのつながりでした。
マイケルさんは「起業家精神を持つ者同士は引き合う」とおっしゃいました。それは、柔軟性やリスクを取る覚悟、新しいパートナーと組む意志などのマインドセットが似た者同士は、ご縁を通じて自然に出会うということ。
これはご縁が「育つ理由」でもあるのかもしれません。偶然の出会いが続いていくのは、運ではなく、自分のなかに相手と共鳴するものが育っているからではないでしょうか。

最初の「3分間」で、次の扉を開く

ご縁を育てるうえで、私がずっと大切にしてきたことがあります。「また会いたい」と思ったら、少しだけ勇気を出して踏み出すこと。特に、時間が何よりも優先される金融の世界で学んだのは、相手との関係が決まるのは最初の「3分間」だということです。この限られた時間のなかで、いかに相手の心に余韻を残し、「また会いたい」という伏線を敷けるか。そして、「今度ランチに行きませんか?」と一歩を踏み出せるかどうか。
特に日本人のなかには「相手に失礼ではないか」「断られたらどうしよう」という心理が働きやすい傾向があるようです。けれど、現実には、活躍されている方ほど「また会いたい」という誘いをポジティブに受け取り、複数の日を提示してくださることも少なくありません。
断られることを恐れるあまり、何も言わないというのは、実は最もリスクが大きい選択肢ではないでしょうか。言い出さない限り、その可能性は永遠に生まれません。勇気を持って声をかけたその一歩が、新しいご縁という「私産」につながっていくのかもしれません。

がっかりを許容する、オープンであり続けること

しかし、新しい扉を叩くとき、いつも望んだ通りの結果が得られるとは限りません。
鼎談のなかで、木村社長はこうも話してくれました。
「うまくいかない出会いもたくさんある。でもがっかりせずに、オープンに接していく中で、良い出会いが生まれる」。
これは投資におけるリスク管理の考え方にも通じます。一度の「No」や期待外れの結果を「拒絶」や「失敗」と捉えて足を止めてしまうのは、あまりにももったいない。それは単に「今はタイミングではなかった」というだけのこと。ご縁があれば、チャンスは一度に限りません。他の友人が再びつないでくれたり、数年後に意外な場所で再会したりすることもあります。つまり、「つながりを持つこと自体」がすでに幸運であり、一度の出来事でその価値が消えることはないのです。
「がっかり」というコストを許容しながら、それでもオープンで居続けること。その凛とした姿勢こそが、やがて「本物のご縁」へと導いてくれるはずです。

AIの時代だからこそ、本物のつながりが際立つ

Alumni Venturesのビジネスの根幹は、大学時代の同窓ネットワークにあります。十八歳の頃に育んだ信頼は、二十年後も即座に蘇る。それほどまでに、人と人とのご縁は時を超えて深く機能するものなのでしょう。
AIが台頭するこの時代、人のつながりはどこへ向かうのか? そんな私の質問に、マイケルさんは「信頼関係を持ち、相手が実在する人間であると分かることが、これから極めて重要になる」と答えてくれました。
AI が便利になればなるほど、本物の人とのつながりの価値が際立つ。これは、私たちが今こそご縁を大切にすべき理由なのだと思います。
日本橋の小さな懇親会での名刺交換が、やがて世界の投資の最前線へとつながっていく。ご縁は、育てた分だけスケールするものなのかもしれません。
偶然の出会いを、自分の行動によってつながりへと変えていく。そのつながりを、何度も育てていく。その繰り返しのなかにこそ、人生の本当の財産があるのだと思います。
あなたの目の前にいる人に、少しだけ心を開いてみてください。その小さな一歩が、きっと人生を変えるきっかけになるはずです。



マイケル・G・フィリップ(Michael G. Phillips)
Alumni Ventures 最高法務責任者(CLO)兼
エグゼクティブ・マネージング・ディレクター、アジア・パシフィック代表
法律、金融、投資管理の分野で25年以上の経験を持ち、
大手金融機関やスタートアップにおいて法務・ビジネス両チームを牽引。
最高執行責任者(COO)を経て、現在はAlumni Venturesの
最高法務責任者兼アジア・パシフィック代表を務める。
過去には大企業のグローバルな資産運用ビジネスの成長を支援したほか、
インフラプロジェクト特化型の革新的な投資アドバイザリープラットフォームを共同創設。
米国の主要法律事務所での実務に加え、米国陸軍将校としての経歴も持つ。
CFA(公認証券アナリスト)資格を保持し、ダートマス大学学士、ウィリアム&メアリー大学法務博士、
ビラノバ大学税法修士、ウォートン・スクール金融学MBAを取得。
芸術教育を主軸とするチャータースクールの設立支援や、非営利団体「Joy2Learn」の理事、
教育テクノロジー企業やファミリーオフィスのアドバイザーとしても活動。



木村大樹
Keyaki Capital株式会社 代表取締役CEO
野村證券でオルタナティブ商品の営業に従事した後、ニューヨークの証券化ビジネスに携わり、
サブプライム危機に直面しながら問題解決に努める。
帰国後はバークレイズ証券を経て、2012年にシティグループ証券の年金ソリューション部長、
2015年からはマッコーリー・インベストメント・マネジメント日本代表。
2020年に個人に公開されていない世界中のプライベートアセットへの投資機会を、
充実感と高揚感に満ちた投資体験として提供するKeyaki Capitalを創業。一橋大学経済学部卒。