パトラ世代は、いくつもの仕事の顔が必要です。
第2回目にご提案するメイクアップは
仕事のあらゆるシチュエーションで
好感度高い“場〟を和やかな雰囲気に変えるテクニックです。
それは控えめにするという意味ではなく
〝メイクで表現する品性〟です。
世界のセレブリティをメイクアップし、
経験として得た美のあり方をキレイの流儀としてお届けします。

立場をわきまえつつ、どなたに対しても
和やかな〝場〟を作るには?
ゲストの女優・国分佐智子さんのある1日をおうかがいすると、お子さまの学校の行事や用事、お母様どうしの集まりがあり、さらに、夫の2代目・林家三平さんの妻として、来客の対応など多くの人と接しなければならい多忙なご様子。しかし、仕事モードがふさわしいかというと、1日の中に、母の顔や妻の顔が必要なTPOもあるとのこと。それは休日の顔ではなく、自己主張をする場面でもなく、常に好印象を心がけなければならないシチュエーションです。どのくらいのレベルでメイクアップをすればいいのか、難しい課題とのことです。
確かに、誰かにでもこのようなシチュエーションはあるでしょう。ある意味、メイクアップでは一番難しい表現方法でしょう。
そこで、親しみやすく優しい印象で、お目にかかるどんな方にも好印象を与えるメイクアップのマナーを伝授しましょう。
「好印象」は肌色のトーンの中から、
メイクカラーを選ぶことがテクニック
好印象でその場を和ませる親しみと優しさがある印象をつくるポイントは、“肌色とメイクアップの色の調和”にあります。肌色というのは、単純な色構成ではありません。国分さんの肌色の場合は、ブラウンやカーキ、サンゴの色などが含まれています。ご自分の肌色をよく分析してみてください。ご自身の肌色の中に含まれている色調を、アイカラー、リップカラー、チークカラーに選ぶことで、肌色そのものと調和がとれて、ナチュラルな美しさが引き出され、キレイな人という品のある印象を残します。親しみやすい優しい雰囲気を伝えるメイクアップは、肌色を分析し、顔全体の色の調和を取ることがテクニックなのです。
決してデフォルメしない。眉と口の輪郭を生かし、
全体の色味の調和が品のよさに繋がります
国分さんの場合は、瞳や眉の色調は赤味系の濃いめのブラウン系、肌色にはサンゴ系が含まれています。よって、アイブロウは赤系ブラウン、リップはサンゴ系のコーラル系、チークも同色のコーラル系で仕上げると、顔全体が調和のとれたナチュラルな美しさと親しみやすい優しさが表現できます。ここで大切なのが、ご自身の本来の眉の幅や形、まつ毛の厚み、唇の輪郭を、メイクアップによって描き出し、顔立ちをはっきりと再現することです。足りないから付け足したり強調するようなプラスのメイクではありません。あくまでもご自身の本来の顔のパーツそのものの形や幅を明確に仕上げることが、〝場〟を和ませる、親しみやすさになるのです。

好印象メイクアップ仕上がり
〝場〟を和ませる好印象。優しい雰囲気でありつつ、自信を醸し出すメイクアップ術です。

(左)1回目に提案した「ワントーン・ベースメイク」でベースメイクは仕上げます。 (中央)眉頭の眉毛が生えていない先端部分に、1~2本眉毛を書き足します。すると眉間がキリッとして目元全体が際立ちます。 (右)唇の山と下唇のアウトラインを引きます。口角も筆を入れるようにしてきちんとラインを取ります。その上からさらにリップペンシルでラインをとって いきます。
目元のメイクアップのテクニックを説明しましょう。まぶた全体に肌色と馴染みのよいベージュ系を指でぼかします。まつげ沿いにベージュよりワントーン濃いブラウンでラインのようにまつげ際に入れ指でぼかします。マスカラは根元にしっかりのせるとアイライナーを引かなくても、本来の目元が活かされ、優しい雰囲気になります。目元のメイクで大切な存在が眉の形です。眉山のトップから1ミリくらい眉頭よりを最も濃い色味にします。描き方は眉毛の生える方向に沿って描くと自然な仕上がりです。眉毛の毛流れを鏡で見てください。眉頭は下から上へ。眉山から眉尻は上から下に生えていますね。この毛流れ通りに描くことです。パトラ世代のワンポイントテクニックは、眉頭の毛が生えていない部分に1〜2本描き足すことです。そうすると目元がキリッと引き締まります。唇のポイントは、筆を使ってきちんと唇の輪郭を取ることです。唇の山、下唇のアウトラインを描いてから全体にのせます。そのあとにリップライナーで再度、輪郭を描くと品のよさが生まれます。チークは笑った時に盛り上がる骨格に沿って、のせていきます。
曖昧な顔のパーツを際立て、あるがままのご自身の美しさを再構築するのが「好印象メイク」のテクニックです。それは目を大きく見せたり、切れ長に見せるようなデフォルメではなく、あくまでも本来の美しさを際立て、あなたという存在が、あらゆるシチュエーションを和やかな場に変える、メイクアップがもたらす魔法のようなテクニックなのです。
東京生まれ、オーストラリアで育つ。恵泉女学園短期大学英文化卒業1997年、
デビュー以来、ドラマ、映画、舞台で活躍。CM 出演多数。
2011 年 1 月、落語家の二代目・林家三平と結婚。
子育て真っ最中の現在は、三平師匠の女将さん、きもの雑誌のモデル、
バラエティ番組の出演など、多忙な日々を送る。
趣味は料理、ガーデニング。
