Naoko Furuya

和文化コンシェルジュ

1965年生まれ。1987年株式会社世界文化社入社。 『MISSウエディング』『家庭画報特選きものSalon』 編集長を務める。
2022年独立後は執筆や講演のほか、
工芸作家のプロデュースや商品開発、
和文化に関するイベント企画など幅広く活躍中。

和文化への招待

vol.1

文楽の魅力

歌舞伎は観に行く方でも、文楽を観ている方は少ないようです。
3人で一体の人形を操る世界でも稀な芸術の魅力を繙きます。



よく、文楽と人形浄瑠璃は違うもの?という質問を受けますが、文楽とは人形浄瑠璃のひとつの呼称とでも言いましょうか。まずは歴史をお浚いしてみましょう。
京で盛んだった人形浄瑠璃。江戸時代元禄の頃、竹本義太夫という語りが大阪の道頓堀に「竹本座」という人形浄瑠璃の芝居小屋を開いて、近松門左衛門の作品で大人気を博しました。その後、植村文楽軒が大阪高津新地に人形芝居の座を設け、明治になって三代目が大阪松島新地に「文楽座」という劇場を建てます。後にこの文楽座のみが残ったため、「文楽」が人形浄瑠璃を意味する呼称となっていきます。演目自体は歌舞伎に通じるものがありますが、文楽の特徴はなんと言っても太夫と三味線と人形が三位一体となって繰り広げる芝居というところにあります。
ひとりですべての登場人物を演じ、ト書きを独特な義太夫節で物語る太夫(語り)、人物の心情や情景描写を表現する太棹の三味線(音響)、一体の人形を、かしらと右手を遣う主遣いと左手を担当する左遣い、足を使う足遣いの三人の人形遣い(役者)、これらが渾然一体となって舞台を支配すると、人形がまるで生きているようにさまざまな表情を見せるというなんとも魅惑的な芸術なのです。



インドネシアの影絵劇やチェコのマリオネットなど世界中にさまざまな人形劇がありますが、文楽のスタイルは他に例がなく、ユネスコ無形文化遺産にいち早く認定されました。
主な公演は大阪と東京の国立劇場で行われてきましたが、東京の国立劇場の老朽化建て直しに伴い、東京公演の会場は定まらず、人気の陰りに拍車をかける国内状況に対し、イギリスの有名な人形劇団 Blind Summit が BUNRAKU を取り入れてブレイクするなど、海外での評価は高まる一方という少し皮肉な状況となっています。

つづく

Professional Crew
プロフェッショナル・クルー

古谷尚子

古谷尚子

Naoko Furuya

和文化コンシェルジュ

きもの雑誌の編集長を経て独立。陶芸、書道、華道、茶道を嗜み、文楽を愛す。

榎田瑛太

榎田瑛太

Eita Enokida

ヘア&メイクアップアーティスト パリにて20年間活躍。国内外のセレブリティから支持される。

鹿田美智子

鹿田真希

Maki Shikada

アンチエイジング健康&美容コンシェルジュ30年以上の取材や最新情報を豊かに生きる情報としてお届け

原澄英

原兆英

Chouei Hara

インテリアデザイナー

アートを取り入れたデザインで、人の心に寄り添う空間づくりに取り組む。

岡部ゆり

岡部ゆり

Yuri Okabe

ビジネスコンシェルジュ

外資系金融機関に勤務後、独立。海外進出支援、富裕層の資産活用を行う。

墨屋宏明

墨屋宏明

Hiroaki Sumiya

アートプロデューサー

アートフェアディレクターを経て企業・地域・個人のアドバイザーとして活躍。