Naoko Furuya

和文化コンシェルジュ

1965年生まれ。1987年株式会社世界文化社入社。 『MISSウエディング』『家庭画報特選きものSalon』 編集長を務める。
2022年独立後は執筆や講演のほか、
工芸作家のプロデュースや商品開発、
和文化に関するイベント企画など幅広く活躍中。

いいもの見つけた

vol.1

[アバカ]という
自然素材をご存知ですか?

四季のある日本でも、最近はとにかく暑い時期が長く続いています。
ファッションの世界も涼やかで軽い装いが人気。
そこで密かなブームが到来している天然素材が「アバカ」です。


マクラメ編みで菱立涌模様に編んだバッグ。持ち手は大分の竹作家作。

あえて天然素材を選ぶ理由

「アバカ」とは、糸芭蕉のこと。糸芭蕉の茎から繊維を取り出して糸にした伝統的な織物に沖縄の高級品「芭蕉布」があります。最も多く自生するフィリピンでは、船舶用のロープや魚を捕る網などに用いられてきました。それらは主に母から娘へと伝えられる手仕事、マクラメ編みで作られています。織物と編み物の違いはありますが、古くから使われている身近な素材。軽くて水に強く、耐久性があり、通気性、浸透性に優れていることが特徴です。バッグなどファッション小物、家具や装飾品、最近ではコーヒーフィルターにも使われている注目の天然素材なのです。


インテリアにも素敵な花継ぎ模様のカフェマット。

フィリピンの伝統工芸と日本のデザインの融合

マクラメ編みで作ったバッグや小物類はフィリピンのお土産店でよく見かけます。約 10 年前、日本の NPO 法人が、技術を指導して日本向けにデザインした商品の制作を開始。天然素材の魅力に洗練が加わるとともに、現地の職人のクオリティも上がりました。現在、NPO のこころざしを[M+abaca]というブランドが受け継いでいます。いつか大地に還るときのためにバッグ類には金具がなく、水洗いでき、かごバッグなのに畳める仕様。一部商品は日本の工芸作家や竹工房とのコラボレーションにより、上品な趣を添えます。


定番のかごバッグ。収納力も人気の理由。

和の心に通じる作品が人気

アバカにいち早く目をつけたのが、きもの愛好家たち。天然素材の知識があり手仕事とその価値を高く評価するユーザー。その声に応えて、八寸帯や半幅帯、数寄屋袋などの和の製品を作るようになったそうです。帯のように細く長い作品は熟練を要するため、一年間で数十本しかできないこともあり、現在バックオーダーでの制作となっているとのこと。経年変化で深まる色や艶といった、天然素材ならではの使って育てる感覚も日本人の和心をくすぐります。

Professional Crew
プロフェッショナル・クルー

古谷尚子

古谷尚子

Naoko Furuya

和文化コンシェルジュ

きもの雑誌の編集長を経て独立。陶芸、書道、華道、茶道を嗜み、文楽を愛す。

榎田瑛太

榎田瑛太

Eita Enokida

ヘア&メイクアップアーティスト パリにて20年間活躍。国内外のセレブリティから支持される。

鹿田美智子

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Maki Shikada

アンチエイジング健康&美容コンシェルジュ30年以上の取材や最新情報を豊かに生きる情報としてお届け

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Chouei Hara

インテリアデザイナー

アートを取り入れたデザインで、人の心に寄り添う空間づくりに取り組む。

岡部ゆり

岡部ゆり

Yuri Okabe

ビジネスコンシェルジュ

外資系金融機関に勤務後、独立。海外進出支援、富裕層の資産活用を行う。

墨屋宏明

墨屋宏明

Hiroaki Sumiya

アートプロデューサー

アートフェアディレクターを経て企業・地域・個人のアドバイザーとして活躍。